なぜMacbook AirはモデルごとにSSDのコネクタを変えるのか?
価格.com - 『macbook airはSSD端子をなぜ毎モデル変えるか?』 Mac ノートのクチコミ掲示板というスレッドでいろいろ考えた。せっかくなのでブログにも残しておきたい。
掲示板の私のコメント:Appleの1つのビジネスモデル「ストレージの戦略的価格設定」
スレ主さんが建てたスレッドのタイトルに対する私なりの答えですが、恐らく「AppleはMac本体内部の部品をビジネスとするサードパーティを快く思っていない」からだと思います。いつの間にかApple信者になったのでAppleのことを弁護すると、Mac本体にUSB・Thunderboltなどで接続するサードパーティ製品は歓迎してると思います。それはApple Storeのサードパーティ製品の品揃えで判ります。
ではなぜ本体部品のサードパーティを快く思っていないのかと言うと、主にフラッシュストレージ容量・メモリ容量で製品を差別化してるからです。Macbook Airに限らず、Macbook ProもMac miniもiPadもiPhoneも同様です。
フラッシュメモリチップやDRAMチップは製品の中では比較的安い部品ですが、これらを追加するだけでお客様がある程度納得するAppleにとってとても有利な価格設定が出来ます。
Appleにしか出来ないハードウェアの軽さ・薄さ・バッテリーの持ちの良さ、ソフトウェアの直感的な操作・動作の軽さ・手に馴染む感じを高いレベルで実現した上で、フラッシュストレージ容量・メモリ容量の差別化で大きな利益を上げることがAppleのビジネスモデルの1つではないかと思っています。
確かにあらゆるコンピュータ本体に使える大量生産品が使えないのは痛いです。ただ、Macbook AirについてはアメリカのOWCが専用品を作っていて、秋葉館で通販で買えて、換装作業に必要な工具と元のSSDをUSBで外付けで使うためのMacbook調アルミケースがついてるので、換装は簡単です。私は少しでも安くしたかったので、英語でOWCのサイトでポチりましたが。私のは2011midですが、以降のモデルも換装手順は変わらないようですね。
もちろんWindows PCの2.5inch SATAに比べるとお高いんですが本体の薄さ・軽さを追求するためには基板形状は独自の細長いものにせざるを得ず、こればっかりは仕方ないですね。接続端子にmSATAを採用したとしても一般的な製品の外形サイズを守れないです。これは薄さ・軽さの代償です。それに対してWindows PCの2.5inch HDDサイズと言うのも単に過去との互換性のためで、フラッシュメモリではチップの配置も比較的自由ですし。
スレ主さんや私が望むように、将来SSDのプラットフォームが完全に統一されるかも知れませんが、その時にはSSDの基板にlightningやMagSafeのように認証チップが付いているかも知れません。
それでも自分のMacをApple Storeに持ち込むとジーニアス達がその場でSSDをアップグレードしてくれて、S.M.A.R.T.やAppleが独自に追加した健全性チェックで的確に残り寿命を判断し見合った価値で下取りをしてくれて、リーズナブルな価格で気軽に買える選択肢が増えるならば、私は満足です。
ストレージの戦略的価格設定というビジネスモデルを発見した理由
これに気づいたのは@dante_39のPhone5 32GBのストレージを使い果たしたから。次に買うモデルが6なのか6sなのか7なのか判らないけど64GB以上のモデルを買わないといけない。
きっと今64GBモデルを所有している人も同じような状況でどうも128GBモデルが出てきそうですね。
【iPhone 6の噂】5.5インチ版には128GBモデルも登場か? 価格を予想! - たのしいiPhone! AppBank
Appleのストレージの戦略的価格設定と、ストレージに保存するコンテンツを売るiTunes Storeの両輪は無双すぎますw
Windows Ultrabookのストレージコストのアドバンテージはいつまで続くのか
インテルがビジネス向けにこれからのUltrabookはこうなるとコンセプトを表現した動画がこちらです。
第 4 世代インテル® Core™ vPro™ プロセッサー・ファミリー搭載のビジネス向け Ultrabook ...
実在のマシンでなくインテルが創作したイメージですが概ねこうなっていくでしょう。有線LANのコネクタの代わりにHDMI or DisplayPort or DVIの方が、サラリーマンの皆さん大好きPowerPointでのプレゼンで楽にプロジェクタに繋げるから良いと思いますがね。有線LANはUSB3.0で十分でしょうし。ま、インテルの創作なんでどうでも良いんですが。
既に同等の機種が幾つか出てますが、この動画の通りの機種が主流になると従来パワーユーザーならかろうじて出来ていたベアドライブ交換による容量アップがかなり難しくなります。
1つ目に実装密度を高めるために隙間だらけの2.5inchドライブサイズは使えなくなること。
2つ目に2.5inchサイズの後継がすんなり1.8inchに収束すればいいですがこれでも実装密度の要求を満たせない場合にインテルやMicrosoftなど影響力があるものが旗振りすれば後継規格が分裂しないでしょうが、リスクが残ること。
3つ目にこれが決定的ですが、部品の実装密度が非常に上がり、ジーニアスレベルのスペシャリストで無いと分解交換はほとんど不可能になること。そして各メーカーにはApple Storeに相当する直営店はなく、直営店があったとしてもそこにはジーニアス達(保守マニュアルを理解したサービスマン)はいません。
これはとことん使い倒そうとすると、メーカー出荷時オプションで選べる最大容量のドライブを選択してカスタマイズして出荷してもらうのがMustになることを意味します。そして半導体の常として時間が経てばより大容量のものがより安価に入手できるようになります。
ストレージサイズの選択のチャンスが1回に限られると、大容量ストレージは容量以上に価値をもちます。薄さ・軽さを追求してMacbookを追いかけていたら、自分たちもAppleと同じような販売スタイルしか取れ無さそうなのです。企業ユーザはいいかも知れませんがね。